会社員の多くは、年末調整や税金に関する処理を会社や税理士に任せていると思います。
「会社がやっているから大丈夫」
「税理士が処理しているなら間違いない」
私自身も、どこかでそう思っていました。
しかし今回、税金に関する書類の誤りを実際に経験し、その考えは大きく変わりました。
もし私が退職後に自分で確定申告をしていなかったら。
もし自治体から届いた税額変更の通知を「そういうものなのだろう」と、そのまま受け入れていたら。
今回の間違いに気づかなかった可能性があります。
しかも問題は、単なる「数字の入力ミス」だけではありませんでした。
発端は、給与支払報告書の金額ミス
私は退職後、会社から受け取った源泉徴収票をもとに、自分で確定申告を済ませていました。
ところが、その後、自治体から税額が変更された旨の通知が届きました。
「何かおかしい。」
自分が確定申告した数字と照らし合わせると、金額が合いません。
そこで自治体や元勤務先へ確認したところ、元勤務先から自治体へ提出された給与支払報告書の給与額が、実際より多い金額で提出されていたことが分かりました。
さらに、この問題が発覚した後、改めて源泉徴収票を発行してもらったのですが、その数字にもわずか1円ではあるもののズレがありました。
「たった1円じゃないか」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、私が問題だと思うのは1円という金額ではありません。
給与や税金を扱う書類で、
なぜ正しい数字と違うのか。
そこです。
訂正をお願いしてから、約1か月
誤りが判明したため、元勤務先を通じて訂正をお願いしました。
ところが、それから約3週間経っても、自治体から訂正後の税額に関する書類が届きません。
そこで私は、自分から自治体の住民税担当窓口へ電話しました。
「訂正した給与支払報告書は届いていますか?」
確認してもらったところ、
「まだ確認できていません」
とのことでした。
私はすぐに元勤務先へ連絡しました。
すると、
「税理士事務所にはお願いしている」
という話でした。
そこで私は、
「提出したら連絡してください」
とお願いしました。
しかし、その後も連絡はありません。
そこからさらに約10日。
最初に訂正をお願いしてから、ちょうど1か月です。
また私から確認しました。
すると今度は、訂正した書類自体はすでに自治体へ提出されていたことが分かりました。
つまり、この約1か月、
自治体へ確認する。
会社へ確認する。
また自治体へ確認する。
税理士事務所へ確認する。
連絡しているのは、ほぼ一方的に私からです。
間違えた側から、
「このたびは申し訳ありませんでした」
「訂正手続きを行いました」
「現在このような状況です」
という連絡は、一度もありませんでした。
間違いそのものより、その後の対応に腹が立った
人間が仕事をしている以上、入力ミスが100%起こらないとは言いません。
今回、税理士事務所へ直接確認したところ、給与支払報告書についてはeLTAXへの入力時のミスだったとの説明を受けました。
また、訂正に時間がかかったことについては、事務所内の連絡体制に問題があったとの説明でした。
さらに、訂正書類を提出した後、元勤務先へ連絡がされていなかったことについては、
「連絡したつもりだったが、チャットでは伝わっていなかった」
という趣旨の説明でした。
正直、私は納得できませんでした。
「伝えたつもり」は、
伝わっていなければ、伝えていないのと同じです。
しかも、これは単なる社内連絡ではありません。
人の所得と税額に関わる話です。
私が本当に腹を立てたのは、ミスをしたことだけではありません。
ミスが発覚した後の訂正、確認、報告まで含めて、その仕事の重さが感じられなかったことです。
税金の数万円は、誰にとっても同じ「数万円」ではない
税金が年間数万円変わる。
それを、
「数万円くらいなら」
と思える人もいるでしょう。
しかし、その数万円によって生活が苦しくなる人だっています。
家賃かもしれない。
子どもの教育費かもしれない。
毎月の生活費かもしれない。
同じ1万円でも、その重さは人によってまったく違います。
人のお金を扱う仕事は、それだけ重い仕事だと思います。
そして、税理士という資格を持ち、専門家として人のお金や税金を任されている以上、その資格には知識だけではなく、責任も伴うはずです。
私が腹を立てたのは、
「税理士なのに間違えた」
ということだけではありません。
間違えた後の対応から、その責任の重さが伝わってこなかったことです。
電話では、私もかなり強い言い方をしました
あまりにも納得できなかったため、税理士事務所の担当者へ直接電話しました。
そこでの受け答えも、私にはかなり軽く感じられました。
こちらは約1か月、自分の税金がどうなるのか分からず、自治体や会社へ何度も電話しています。
その状況で軽い調子の返事をされれば、怒りも湧きます。
私も感情的になり、
「高いお金をもらって仕事をしているんだろう」
と強い言い方をしました。
そして、もう一つ。
「この打ち間違いによって、生活に困る人だっている。場合によっては、それくらい深刻な影響を与える仕事をしているということを意識してほしい」
という趣旨のことも伝えました。
かなり強い言葉だったと思います。
でも、それくらい人のお金を扱うということには責任があると、私は思っています。
腹が立ちすぎて、税理士会にも電話した
それでも怒りが収まらず、
「こういう対応について相談できるところはないのか」
と思い、税理士会にも電話しました。
しかし、今回については、私個人からの苦情としては受け付けられないという回答でした。
税理士事務所との契約当事者は元勤務先であり、私自身が直接依頼しているわけではないためです。
正直、その瞬間は、
「え?税理士の組織だから身内に甘いのか?」
と一瞬疑いたくなりました(笑)。
もちろん、それが事実だと言っているわけではありません。
制度上、契約当事者ではない私からの苦情を直接受け付けられない、という理由があることも理解しました。
それでも、
実際に間違った給与額を報告され、税額に影響を受けた本人が相談しても、直接苦情として取り扱われない
という仕組みには、少しモヤモヤが残りました。
元勤務先には、税理士事務所への正式な申し入れをお願いしました。
ただ、それを実際に行うかどうかは、最終的には会社側の判断になります。
「資格を持っているから安心」の時代ではない
今回の経験で、私は強く感じたことがあります。
資格を持っていることと、仕事が正確であることは別です。
もちろん、税理士という資格が高度な専門知識を必要とするものであることは理解しています。
税務の専門家が必要になる場面も当然あります。
しかし、
「税理士だから間違えない」
「専門家だから確認しなくていい」
という考え方は危険だと思います。
そして今は、AIやデジタルツールが急速に発達しています。
私は今回、
「高い専門知識を持っていること」と
「数字を正確に入力し、確認すること」は、
必ずしも同じ能力ではないのだと感じました。
AIだから絶対に間違えない、という話ではありません。
AIも、間違ったデータを与えれば間違った答えを出します。
しかし、
複数の書類に記載された金額が一致しているか。
計算結果に大きなズレがないか。
前年と比較して異常な変化がないか。
こうした機械的なチェックは、AIやシステムが得意とする分野です。
これからは専門家だけにすべてを任せるのではなく、
専門家+システム+本人による確認
という形が必要になってくるのではないでしょうか。
資格を持っているから特別なのではなく、
その資格に見合った仕事と責任を果たしているからこそ、専門家として信頼される。
AI時代になれば、なおさらそうなると思います。
「会社がやっているから大丈夫」は、本当に大丈夫なのか
会社員の場合、給与や税金に関する処理の多くを会社へ任せています。
年末調整をしてもらう。
源泉徴収票を受け取る。
住民税は給与から天引きされる。
自分で細かく計算する機会はほとんどありません。
だからこそ、
「会社がやっているから大丈夫」
「税理士がやっているから大丈夫」
と思ってしまいます。
でも、入力するのは人間です。
人間なら間違えることがあります。
そして今回のように、間違いに気づいた本人が動き続けなければ、訂正の進捗すら分からないケースもあります。
源泉徴収票を一度確認してみてほしい
今回の経験から、会社員の方にも一つおすすめしたいことがあります。
源泉徴収票を受け取ったら、
お住まいの自治体の住民税担当窓口に、勤務先から提出された給与支払報告書の「支払金額」がいくらになっているのか確認してみる
という方法です。
電話の場合、本人確認の関係で金額そのものを教えてもらえない自治体もあると思います。
その場合は、どのような方法で確認できるか聞いてみてください。
少なくとも、
手元の源泉徴収票と、自治体へ提出された給与支払報告書の金額が一致しているか。
ここを確認する意味はあると思います。
住民税は、単純に
「年収○万円だから全国一律で○万円」
というものではありません。
各種控除や社会保険料、家族構成などによっても税額は変わります。
だからこそ、計算の基礎になる給与額そのものが間違っていれば、税額にも影響する可能性があります。
自分のお金だから、自分でも確認する
今回、私が一番伝えたいのは、
「税理士を信用するな」
という話ではありません。
会社も税理士も人間です。
人間なら間違えることはあります。
だからこそ、
自分のお金に関する数字は、自分でも一度確認する。
これが必要なのだと思います。
私の場合は、退職後に自分で確定申告をしていたため、
「この数字、おかしくないか?」
と気づくことができました。
もし自分で確定申告をしていなかったら。
もし届いた税額通知を、
「会社と専門家が計算したんだから合っているだろう」
と思って、そのまま受け入れていたら。
今回の間違いに気づかなかった可能性があります。
そう考えると、私は少し怖くなります。
あなたが今払っている税金。
会社から渡された源泉徴収票。
自治体から届いた住民税の通知。
本当に、その数字で合っていますか?
一度だけでも、見比べてみることをおすすめします。
あとがき
この記事を改めて読み返して感じたのは、一部の不誠実な対応が、日々真摯に仕事をされている税理士の方々への信頼にまで影響してしまうということです。
今回の件を通じて強い憤りを感じた一方で、多くの税理士の方が責任を持って、人のお金や生活に関わる仕事に向き合っていることも理解しています。
誠実に仕事をされている税理士の皆様には、心から敬意を表します。
だからこそ、今回のような事例が業界の中でも問題として共有され、少しでも再発防止につながることを願っています。
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