
配線設計の公式って、文字や記号だらけで見るだけで頭が痛くなる…
3m、8m、制限なしって、一体どういう基準で決まってるの?





第2種電気工事士の試験勉強を進める中で、誰もが一度はぶつかるのがこの「屋内配線の設計」という大きな壁です。
しかし、安心してください!配線のルールは単なる数値の羅列ではありません。すべて「家を火事から守り、人を感電から守る」ための人間味あふれる安全対策なのです。
もしこのルールを知らずに配線を適当に設計してしまうと、電線が熱でドロドロに溶けて火災を引き起こしたり、感電事故につながる恐れがあります。
この記事を読み終える頃には、丸暗記に頼るのではなく、「なぜこの公式を使うのか」「なぜこの距離なのか」がクリアに理解できるようになり、試験の計算問題が『得点源』に変わります! 一緒にスッキリ攻略していきましょう!
1. 【安全の絶対ルール】なぜ家の中の対地電圧は「150V以下」なのか?
基本は150V以下!万が一感電しても「命を守る」ための安全壁





Gemini先生、前回の最後にもちょっと出てきたけど、『対地電圧は原則150V以下』っていうルール。これってなんで150Vなの? 100Vじゃダメなの?





良い質問ですね、まさまさ!結論から言うと、感電による危険を低減するため、住宅などの屋内電路では対地電圧を原則150V以下とするルールが定められているからです。
💡 対地電圧とは?
電線と「大地(地球)」との間の電圧のこと。私たちが地面に足をついた状態で電線に触れてしまったとき、感電時に体へ流れる電流の大きさに関係する電圧のことです。
人間は水分が多く、電気を通しやすい体質です。対地電圧が大きくなればなるほど、感電したときに体に流れる電流が大きくなり、命の危険が高まります。そのため、住宅などの屋内電路では、感電による危険を低減するため、対地電圧を原則150V以下とするルールが電気設備の技術基準で定められています。
【例外ルール】200VエアコンやIHクッキングヒーターがOKな秘密の条件





ちょっと待って!部屋にある大型エアコンとかIHクッキングヒーターって『200V』って書いてあるけど、150Vを超えてるけど法律違反じゃないの!?





ふふふ、そこが試験によく出る『例外トラップ』なんです!基本は150V以下ですが、特定の安全条件をクリアした場合のみ、対地電圧300V以下まで使ってOKというルールがあるんですよ。
一般的な住宅で「単相3線式」を使って200Vの家電製品を使う場合、対地電圧自体は100Vに保たれています。しかし、業務用の機器などで対地電圧が150Vを超える(300V以下)電気機器を使う場合は、以下の4つの鉄壁防御が必要になります。
300V以下が認められる主な条件
- 使用電圧300V以下(200Vなどの機器が対象)
- 簡易接触防護措置(人が簡単に充電部分に触れないようにする)
- その機器のみに電気を供給する屋内配線(他の機器と回路を共用しない)
- 屋内配線と機器を直接接続(コンセントを使わず、直接つなぐ)
- 専用の開閉器・過電流遮断器(機器専用のスイッチとブレーカーを設ける)
- 漏電遮断器(漏電を検知したら自動的に電気を遮断する)
【覚え方まとめ】
・原則:対地電圧は 150V以下(命を守る基本ライン)
・例外:300V以下までOK(大きな電気を使う機器+漏電遮断器などの厳重装備が必須!)
2. 電線の役割分担!「幹線(大動脈)」と「分岐回路(市道)」
引き込み口から分電盤までをつなぐ「幹線」の重要性





電圧の次は、配線のルートについてだね。『幹線(かんせん)』と『分岐回路(ぶんきかいろ)』って言葉が出てくるけど、何が違うの?





道路で例えると一発で理解できます!
- 幹線=『国道(大動脈)』
- 分岐回路=『各家庭に向かう細い市道』と思ってください。
分電盤から各部屋やコンセントなどへ電気を送るための、主要な電路が「幹線」です。道路に例えるなら「国道」のような大動脈ですね。
家の中で多くの電気をまとめて流すため、十分な電流を流せるように電線の太さを決める必要があります。ここで登場するのが、今回の「幹線の許容電流IW」の計算です。
分電盤から各部屋へ散らばる「分岐回路」





じゃあ、分電盤からリビングのテレビやキッチンの冷蔵庫に繋がっている細い配線が『分岐回路』ってことだね!





大正解です!国道から枝分かれして、各部屋のコンセントや照明に向かうのが『分岐回路』です。
もし家中の配線が1本しかなかったら、どこか1箇所でショートしただけで家全体の電気が消えてしまいますよね。そのため、分電盤で安全装置(ブレーカー)を挟みながら部屋ごと・用途ごとに小分け(分岐)して電気を供給しているのです。
3. 試験の最重要キモ!幹線の太さ\(I_W\)を決める「3つの公式」
なぜモーター(電動機)があると計算が変わる?「ガブ飲み電流」の正体





いよいよ計算問題だ…!教科書を見ると、幹線の許容電流 \(I_W\) を求めるときに、急に \(1.25\) とか \(1.1\) とかの数字が出てきてパニックになるんだけど…





焦らなくて大丈夫ですよ。この計算の最大のカギは『モーター(電動機)がいるかどうか』、ただそれだけです!
エアコンのコンプレッサーや換気扇、ポンプなどの「モーター」は、動き始める瞬間に、通常より大きな電流が流れるという特徴があります。
そのため、幹線の設計では、モーターの定格電流をそのまま足すのではなく、電動機の合計電流に一定の割増しをして計算するルールが定められています。
ヒーターや電灯などの普通の電気製品と同じように考えるのではなく、モーターが動き始めるときに大きな電流が流れることを考慮して、幹線には余裕を持たせて設計します。
そのため、モーターの合計電流IMが大きい場合は、一定の割増しを加えて幹線の許容電流IWを求めるルールになっています。
【判別フロー】50Aを境目にした「1.25倍」と「1.1倍」の使い分けマスター術





なるほど!モーターのガブ飲みに備えるために割増するんだね。でも、なんで1.25倍と1.1倍の2種類があるの?





モーターの合計電流(\(I_M\))が大きくなればなるほど、もともとの値が大きいので、割増率を少し下げても十分安全が保てるからです。基準になる運命の数字は『50A』です!
幹線の最小許容電流 \(I_W\) を求めるときは、次の3ステップのフローチャートで一発解決できます。
| パターン | 条件 | 求める公式 | 理屈・ポイント |
| パターン① | モーターがない または \(I_M ≦ I_L\) | \(I_W ≧ \) \(\sum I_M + \sum I_L\) | モーターの影響が小さいので、単純に足し算すればOK! |
| パターン② | モーターがメインで \(I_M ≦ 50A\) | \(I_W ≧ \) \(1.25 \times \sum I_M + \sum I_L\) | 小〜中型モーター。ガブ飲みに備えて25%増し(1.25倍)! |
| パターン③ | モーターがメインで \(I_M > 50A\) | \(I_W ≧ \) \(1.1 \times \sum I_M + \sum I_L\) | 大型モーター。元が大きいので10%増し(1.1倍)で十分! |
※ \(I_M\):モーター(電動機)の定格電流の合計
※ \(I_L\):ヒーターや電灯(電気加熱装置など)の定格電流の合計





『50A以下なら1.25倍! 50Aを超えたら1.1倍!』って唱えれば完璧だね!
4. もしもの時のボディーガード!「過電流遮断器(\(I_B\))」の選び方
「3倍+残り」vs「2.5倍」!小さい方を選ぶ計算トリックの解き明かし





電線の太さ\(I_W\)が決まったら、次はその電線を守るブレーカー(過電流遮断器 \(I_B\)の大きさを決めるんだよね。ここにも複雑な公式があったような…





ここも考え方はシンプルです!ブレーカーの定格電流 \(I_B\) を決めるときは、次の2つの式を計算して『小さい方の数値以下』を採用するというルールがあります。
ブレーカー定格電流(\(I_B\))の決定式(モーターがある場合)
- モーターの起動電流を逃がす式\[3 \times \sum I_M + \sum I_L\](※スイッチを入れた瞬間のガブ飲み電流でブレーカーが落ちないように、モーター電流を3倍にする)
- 電線(幹線)を保護する限界式\[2.5 \times I_W\](※電線の許容電流 \(I_W\) の2.5倍を超えると、電線が燃えるリスクがあるため上限を設ける)





なんで『小さい方』を選ぶの?





大きい方を選んでしまうと、電線が耐えきれずに燃えてしまう危険があるからです!『モーターをスムーズに動かせるパワーを確保しつつ、電線の安全限界(2.5倍)を超えないようにする』ために、小さい方を上限(以下)として採用するんですよ。
5. 【ここも超頻出!】分岐回路のブレーカーはどこに置く?「3m・8m・制限なし」のルール
原則は「3m以内」!電線が細くなる場所にはすぐガードマンを





後半に出てくる、分岐回路の線の長さの話(3m・8m・制限なし)もすごく試験に出るって聞いたよ!





はい!ここも配線設計の超激熱ポイントです。
太い幹線から細い分岐回路に枝分かれするとき、電線が細くなるので熱に弱くなりますよね。だから、枝分かれした根元には『すぐガードマン(過電流遮断器)』を置きなさいというのが基本ルールです。
- 基本原則:分岐点から「3m以内」にブレーカーを設置しなければならない!
[ 太い幹線 ] ═════════════════════════════
║ (枝分かれ)
▼
[ブレーカー] ◄── 原則「3m以内」に設置!
│
[細い分岐線]
分岐電線が太ければ距離が伸びる!?35%と55%の魔法の数字





でも、建物の構造上、どうしても3m以内にブレーカーを置けないことってあるよね?





そうなんです!そこで出番となるのが『細い電線の強度を上げれば、遠くに置いてもいいよ』という緩和ルールです。幹線を保護するブレーカーの定格電流IBに対して、分岐電線の許容電流IWがどれくらいあるかによって、ブレーカーを設置できる距離が変わります。
分岐過電流遮断器の設置距離ルール
| 分岐電線の許容電流(\(I_W\))の条件 | ブレーカーまでの設置距離制限 | 理由とイメージ |
| 原則(条件なし) | 3m以内 | 電線が細いので、すぐ手前にガードマンが必要! |
| 幹線の遮断器\(I_B\)の35%以上 | 8m以内 | そこそこ太い電線だから、少し離れた8m先でも大丈夫。 |
| 幹線の遮断器\(I_B\)の55%以上 | 制限なし(どこでもOK) | かなり太い電線だから、どこに置いてもショート時に耐えられる! |
【超重要!暗記用マジックナンバー】
・35% 以上 ────► 8m 以内
・55% 以上 ────► 制限なし(どこでもOK)





なるほど!『サンゴー(35%)はハチ(8m)、ゴーゴー(55%)はどこでもGO!』って覚えればバッチリだね!





素晴らしい語呂合わせです、まさまさ!そのイメージがあれば、試験で距離を聞かれても一発で正解を選べますよ!
6. まとめ&次回予告
今回は「屋内配線の設計」の根幹となる、安全ルールと幹線の設計方法について学びました。最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう!
本日の復習チェックリスト
- [ ] 対地電圧:原則150V以下(2kW以上の機器+専用回路+漏電遮断器等で300V以下までOK)
- [ ] 幹線の許容電流(\(I_W\)):
- モーター \(I_M ≦ 50\text{A}\) → \(I_W ≧ 1.25 I_M + I_L\)
- モーター \(I_M > 50\text{A}\) → \(I_W ≧ 1.1 I_M + I_L\)
- [ ] 幹線の遮断器\(I_B\):\(3 I_M + I_L\) と \(2.5 I_W\) を計算し、小さい方の値以下を選ぶ
- [ ] 分岐遮断器の取付距離:
- 原則 3m以内
- 幹線の \(I_B\) の 35%以上 → 8m以内
- 幹線の \(I_B\) の 55%以上 → 制限なし
よくある質問(FAQ)
Q1:計算問題で \(I_M ≦ I_L\)(ヒーターの電流の方が大きい)の場合はどうすればいいですか?
A1: モーターの影響が相対的に小さくなるため、1.25倍や1.1倍の割増計算は不要です。単純に \(I_W ≧ I_M + I_L\) と足し算して求めてください。
Q2:計算で求めたブレーカーの数値が、市販のブレーカーのサイズ(定格電流)にない場合はどう選択すればいいですか?
A2: 原則として、計算で求めた上限値以下の標準定格を選びます。ただし、低圧幹線の許容電流が100Aを超える場合で、計算結果が標準定格に該当しないときは、直近上位の標準定格を選ぶことが認められています。
次回予告
次回【Lesson 4-2】は、今回の知識をさらに実践に落とし込む「分岐回路の詳細とコンセントの組み合わせルール」を徹底解説します!
「20Aのブレーカーに15Aのコンセントは繋げる?」「50Aを超える大型機器の専用回路とは?」など、試験で超頻出の図記号問題や選定問題を一網打尽にします!
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